直線上に配置

「生活体験の中で得たもの」
         里子F

 良くも悪くも物事には変化がつきものです。それは人にもいえる事で、望む望まざるに関わらず、皆に変化は訪れます。それは人との巡り合いや出会い、日常の様々な出来事の中にきっかけは潜んでいたりします。
 今、思い返すと私の世界はとても狭かった気がします。そしてわがままでした。中学3年生の春、私は一人ぼっちになりました。そして里子としてよそ様のお宅に居候する事となったのです。
 当時の私は子どもじみていて、いつもトゲトゲとした思いを抱えていて、人の親切も素直に受け取ることができませんでした。
 しかしある日、皆で買い物に出かけた折に、箇単に組み立てができる戸棚とクローゼットを私のために購入してくれたのです。そして、「これやったら、Aちゃんが巣立つ日が来ても簡単に持っていけるやろ。」と言ってくれたのです。
 私は驚き、困惑し、とまどいました。そんな先の事まで考えてくれているとは、まさか夢にも思っていなかったからです。目先の事でイラついたりしていた自分が愚かに思えました。その時、私の心には感謝という思いが生まれたのです。それは変化でした。このお宅にいるようになってから、私の生活様式はガラリと変わりました。
 例えば、今まで散らかった、足の踏み揚もないところで暮らしていたのが、キレイなお部屋でグッスリ眠れたりしました。そんな変化とともに得たものはたくさんあります。心のあり方。人に感謝する心。そして辛いと思ったことや嬉しかった事、悲しかった事、それら全ての出来事や送った日々が、私を成長させてくれる肥料だったのです。
 なぜならば、それらのものこそがこれまでの生活体験の中で得た、一番の宝物なのでしょう。この得ることができたものを失くすことなく前向きに生かして頑張る事こそが、私にたくさんのものを与えてくれた方たちに対する恩返しになると信じています。

 これからは貰うだけの子どもではなく、誰かに何かを与えてあげられるような人になりたいです。 そして、そう思えるようになった自分の変化に嬉しく思いつつ、前向きに生きていこうと思っています。

直線上に配置